研究テーマ

橋梁デザイン

橋梁をはじめとする公共構造物のデザインを、機能、構造、材料、環境、施工、維持管理、コストなどをトータルで考えながら、優れた景観形成に寄与する統合化の方法論と実践を考えます。

  • 橋梁予備設計の適正化

    橋梁の予備設計は、その橋梁の基本的なあり方を決める非常に重要なステップですが、その手法には、コスト評価や価値の重みづけ、付属物計画や景観計画、維持管理計画などに様々な課題が残されています。優れた社会資本のストックを形成するため、橋梁予備設計のプロセスを適正化する方策について研究します。

  • 構造デザインと橋梁計画

    橋梁は、厳しい力学条件に晒される構造物です。このような構造物を設計するには、単なる意匠デザインではなく、「構造をデザインする」ことが不可欠です。構造工学により安全性や耐久性を生み出しながら、同時に造形的な美しさを創出します。構造デザイン技術にもとづく橋梁計画・デザインの実践を行います。

  • アルミ橋

    アルミニウムは、軽量性と耐食性に優れ、資源も豊富にあることから、インフラ材料として高いポテンシャルを有しています。一方、価格が高いことや環境負荷の少ないリサイクル材の強度などに課題もあります。未来のインフラ材料の可能性を探るため、アルミニウム合金を本体構造に用いた橋梁の実用化の検討を行っています。

大阪湾岸道路西伸部

延長14.5km、総事業費5,000億円、国内では今世紀最大といわれる架橋プロジェクトです。渋滞損失時間が全国ワースト1の阪神高速3号神戸線の交通渋滞を大幅に緩和することに加え、非常時の代替路、新たな観光資源として、様々な役割が期待されています。完成すると新港灘浜区間は連続斜張橋として世界最大、神戸西航路区間も1主塔斜張橋として世界最大の記録を更新することになります。これらの構造計画から景観デザイン、個々のディテールに至るまで、路線全体にわたる設計の主要部分に当研究室の久保田が関わっています。現在、設計内容を詰める作業が日々進められています。(事業主体:国土交通省近畿地方整備局、阪神高速道路株式会社)


呉羽フットパス吊橋

呉羽丘陵は、富山市の中心市街地からも近く、古来より富山の人々に親しまれてきました。立山連峰や富山市街地を一望できる絶好の視点場としても有名です(本ウェブサイトのトップページの写真は呉羽丘陵より撮影されています)。しかし、現状は県道で南北に分断されているため、丘陵内のフットパスも分断されています。そこで県道の上空に歩行者用吊橋を架けてフットパスを連続したルートとして楽しめるよう計画が進められています。天気の良い日には、吊橋上から美しい立山連峰を望むことができるようになります。当研究室の久保田が設計指導に関わっています。(事業主体:富山市)


白虹橋

1964年に竣工した天ケ瀬ダム(アーチ式ダム、堤高73m)の洪水調節機能の向上や水道用水の確保、発電能力の増強などを目的とした再開発において、ダム下流の既存道路橋を撤去して新たに架けることとなった橋のプロジェクトです。世界遺産である宇治の名勝にも近く、構造のみならず景観にも高い配慮が求められました。増水時の高い計画高水位(H.W.L)をクリアしつつ、両岸樹木の伐採量を最小限に抑えて生態系に配慮するとともに、工費および工期を短縮する構造として「PC吊床版橋」という珍しい形式が採用されました。道路線形がバチ型のため、全体として曲線の多い複雑な構造形態ですが、細部を丁寧に造形することでデザインをまとめています。当研究室の久保田が設計指導に関わりました。(事業主体:国土交通省近畿地方整備局)


近畿地方整備局 橋梁形式等選定検討会

国土交通省近畿地方整備局が整備する橋長50m以上の橋梁に関して、構造特性、施工性、経済性、管理特性、延命化、環境・景観への配慮等を総合的に評価し、工事発注段階の橋梁形式等を決定することを目的とした検討会です。近畿地方整備局が整備する主要な橋梁は、ほぼすべてこの検討会で審議されます。幾何構造、地形・地質条件、地元協議、公安協議等に関する各種条件の確認や入札方式等についても検討対象となります。より良いインフラ整備のため、第三者的視点で検討がなされます。当研究室の久保田が学識メンバーとして本検討会に関わっています。

公共空間デザイン

人々が豊かに快適に楽しく過ごせる公共空間づくりを目指し、都市の観察、分析、コミュニケーションから、デザイン提案、政策まで、ハード/ソフトの両面から研究・実践を行います。

  • 景観政策

    公共財である景観を保全・創造するためには、人々が地域の景観に高い関心をもつだけでなく、行政が政策的にしっかりと取り組む必要があります。民間事業には適切な規制や誘導を、公共事業には責任ある景観形成をそれぞれ進めながら、官民連携で優れた景観を創出するような景観政策の研究・提言を行います。

  • 景観デザイン

    街路やストリートファニチャー、橋や水辺空間、建築物など、景観の構成要素をデザインすることで景観全体をデザインすることができます。部屋に一輪の花を飾ることで、空間の意味を大きく変えることができるのと同じです。人々が心豊かに過ごせる公共空間づくりを目指して、研究・実践を行います。

  • 空間の機能と賑わい

    魅力ある都市空間には一定の賑わいが必要ですが、賑わいは何らかの要因の結果生まれるものであり、それ自体として生まれるものではありません。また、多様な質があります。どのような環境条件で、どのような賑わいが生まれるのか、そもそも賑わいとは何か、実践を通じて、空間の機能と賑わいの関係を研究します。

  • 街路歩行性の向上と都市遺産保全

    街路や公共空間の基本的機能として歩行者空間のあり方がより一層注目されるようになってきました。一方、歴史的市街地がそもそも歩きやすい空間スケールでつくられてきたことをふまえれば、歩行性の向上と近代建築を含む都市遺産保全の間に重要な関連性を見出すことができます。街路歩行性と都市遺産保全というふたつの価値を融合した公共空間のデザイン手法を研究します。

富山市景観まちづくり審議会

景観まちづくり審議会は、景観まちづくりを総合的・計画的に推進するため、景観まちづくり条例に基づき、景観計画の策定や変更などに関して審議を行う市長の諮問機関です。当審議会の下には夜間景観形成部会が組織されており、富山市の夜間景観のあり方を見直して、魅力的な夜間景観の創出を図るための検討も同時に進められています。当研究室の久保田は審議会および部会の委員として参画し、富山市の景観まちづくりに貢献しています。


富山城址公園(松川周辺エリア)整備基本計画

富山城址公園は、富山市の市街地中心部に位置し、市民の日常的な憩いの場や賑わいの場として、また貴重な緑のオープンスペースとしての役割を担っています。一方、市街地の中心に位置しているポテンシャルを十分に活かしきれていない面もあります。そこで、城址公園のうち、特に松川周辺エリアの再整備を行うにあたり、整備基本計画が策定されました。当研究室の久保田が検討委員会の副委員長として、計画の策定に関わっています。(事業主体:富山市)


呉羽丘陵フットパス利活用

フットパスはイギリスを発祥とし、「森や田園地帯、古い町並みなど地域に昔からあるありのままの風景を楽しみながら歩くことができる小径」を意味します(日本フットパス協会)。呉羽丘陵には、延長約14.5kmの公式コースを含む、総延長約44kmもの多様なコースがあります。呉羽丘陵フットパスを通じて、人々が自然に親しみ、健康を維持・増進することができるよう、より魅力的なフットパスの整備や利活用の将来イメージについて、当研究室の久保田が懇話会に加わり、地元の方々とともに議論を深めています。(事業主体:富山市)


天ケ瀬ダム再開発の景観デザイン

1964年竣工の天ケ瀬ダム(アーチ式ダム、堤高73m)は、放流能力が小さく、将来起こり得る大規模な洪水に対応できないとの懸念が指摘されています。さらに、十分な水道用水の確保や、夏場の高い電力需要に対応するための発電能力の増強も求められています。これらの課題に対応するため、洪水調節機能の向上や水道用水の確保、発電能力の増強などを目的とした再開発が現在進められています。国内最大級の大規模水路トンネル(内空断面:高さ約26m×幅23m)をはじめ、流入部、ゲート室部、吐口部などいずれも大規模構造物をともなう開発となるため、生態系のみならず、景観にも十分な配慮が必要です。当研究室の久保田は景観デザインのアドバイザーとして本事業に関わっています。(事業主体:国土交通省近畿地方整備局)

公共調達制度

美しい橋や心地よい公園など、良質な公共デザインのためには、それを実現できるような公共調達を行う必要があります。都市の魅力や文化を高める公共調達制度について研究・提案を行います。

  • 公共調達制度論

    公共調達の方法は、一般的な市場経済の方法とは大きく異なります。不特定多数の人々が長期間使用することになる土木施設、特にその基本的なデザインを決める設計業務の調達において、いかにして都市の魅力や文化を高める調達が可能となるか、そのあるべき制度について研究します。

  • 設計競技方式の普及とプロポーザル方式の適正化

    土木学会 公共デザインにおける競争性導入に関する実施ガイドライン研究小委員会(委員長:久保田善明)では、発注者を主な対象とした『土木設計競技ガイドライン・同解説+資料集』を出版し、設計競技方式の普及・啓発に取り組んでいます。同時に、プロポーザル方式の適正化にも取り組んでいます。

  • 価値評価論

    公共土木施設にも、「物理的・機能的価値」(ハード的価値)と、「心理的・意味的価値」(ソフト的価値)の両面の価値が存在します。多額の税金が投入される公共事業において、特に「心理的・意味的価値」への適切な投資及びその説明責任が果たされるよう、価値評価の方法論について研究します。

三宮駅周辺歩行者デッキ設計競技

三宮駅周辺は、神戸市全体の活性化に資するエリアとして、これからの時代を見据えたまちの姿へと今後大きく変貌を遂げていきます。なかでも、三宮周辺に存在する6つの駅(JR、阪急、阪神、ポートライナー、地下鉄山手線、地下鉄海岸線)を一体的につなぐ「えき≈まち空間」の実現の鍵となるのが、歩行者の回遊性を向上させるデッキの整備です。日々多くの人々が利用するデッキのデザインを設計コンペ方式で募集・選定を行います。当研究室の久保田は要項作成段階から本コンペに深く関わるとともに、審査員としても提案の審査に関わります。(事業主体:神戸市)


東横堀川デザインコンペ

2020年はコロナ禍により社会全体の活動が大きな制約を受けることを余儀なくされましたが、そのような状況において、国内初の本格的なオンラインデザインコンペ「Zoom de コンペ!」が当研究室の久保田の呼びかけにより開催されました。学生や若手技術者にオンラインのみで参加可能な自己研鑽と切磋琢磨の場を提供するとともに、ウィズ・コロナやアフター・コロナの時代における新たなデザインコンペの可能性を切り開いた点でも新規性の高い取り組みとなりました。(主催:大阪「水の回廊」東横堀川デザインコンペ実行委員会、土木学会建設マネジメント委員会 公共デザインコンペティション研究小委員会)


税関前歩道橋設計競技

2018年に神戸市が実施したコンサルタントを対象とする本格的なデザインコンペです。当初はプロポーザル方式での実施が予定されていましたが、当研究室の久保田の提案により、デザインコンペ方式で実施されることとなりました。このコンペでは大阪府の「木津川遊歩空間」の設計競技で取り入れられた「継続性原則」がより完全なかたちで導入されるとともに、1次審査通過者には一律の報奨金が支払われるという「誘因両立性原則」導入の先例にもなりました。また、公開プレゼンによる「透明性原則」も確保されました。当研究室の久保田は要項作成段階から本コンペに深く関わるとともに、審査員としても提案の審査に関わりました。(事業主体:神戸市)


Change for the Blue市内電車ラッピングデザインコンペ

日本財団と富山市が連携して海洋ゴミ削減を目指したプロジェクト「Change for the Blue」に当研究室の久保田が協力し、富山市内の路面電車のラッピングデザインのコンペを企画・実施、審査員としても関わったプロジェクトです。コンペで選定されたデザインは、路面電車のラッピングに採用されたほか、富山駅コンコース広場の大型バナーやデジタルサイネージ、レンタサイクルの車輪カバー、市内10箇所の歩道路面へのプリントなどのデザインにも採用され、統一したデザインによる啓発キャンペーンが展開されました。キャンペーンは2019年と2020年の夏期の約1ヶ月間、同じデザインにて実施されました。(事業主体:Change for the Blue in富山)


木津川遊歩空間「トコトコダンダン」

2012年に大阪府が実施した「木津川遊歩空間アイデアデザインコンペ」は、国内の公共デザインコンペにいくつかの重要な視点を取り入れたものとして、ひとつの転換点になったコンペといえます。①デザイナー(デザイン監理者)の位置づけを明確化、②デザイナーを土木分野のみならず幅広い分野から募集、③デザイナーが設計から施工時のデザイン監理まで一貫して関与できる体制を構築、④公開プレゼンによる透明性の向上、などです。当研究室の久保田(当時、京都大学)は本コンペの審査に関わるとともに、上記①~④の導入に向けて要項作成段階から深く関わりました。なお、本コンペを通じて実現された空間は、2018年のグッドデザイン賞金賞を受賞しています。(事業主体:大阪府)


土木設計競技ガイドライン

街路、公園、橋梁、駅前広場、水辺、ストリートファニチャーなどの公共インフラは、物理的性能のみならず、豊かな公共空間や景観の形成にもきわめて重要な役割を担っています。優れたデザインの公共インフラの創出には、それを可能とする公的な仕組みが必要です。当研究室は、国内の公共インフラにそれまでほとんど採用されることのなかった設計競技方式(デザインコンペ方式)」を適切に導入するためのガイドラインの作成を主導し、実際の事業への適用・普及を図ってきました。2018年の刊行以降、本ガイドラインに準拠した設計競技方式が公共インフラの設計に適用される事例も増えてきました。制度や仕組みをデザインすることによって、社会システムという根本的な次元から、現実の都市空間をより良くデザインしていきます。

都市計画

人口減少や高齢化、大都市一極集中、レジリエンスの向上など、現代の都市はさまざまな課題に直面しています。SDGsの理念を具現化し、人が人らしく生きられる都市を目指して、研究・実践を行います。

  • 人口減少時代の都市計画

    わが国で今後長期にわたり進展する人口減少と高齢化。この確実に起こる未来に対して、どのような都市計画を行うべきか、現実を見据え、地に足をつけて、都市の将来像をじっくり考え戦略を練ることが必要です。SDGsの理念を具現化する「No one will be left behind(誰一人取り残さない)」な都市の実現について考えます。

  • コンパクトシティの分析・評価

    都市がどういう状態であれば、「コンパクトシティ」と呼べるでしょうか? 富山市を対象に、コンパクトシティを形成するさまざまなファクターを抽出・データベース化することで、現状を定量的に把握し、今後の計画や設計に資するさまざまな情報を得ることを目指します。そのような分析・評価の研究を行います。

  • 中心市街地活性化と空間再編

    多くの地方都市で、中心市街地の衰退が大きな問題になっています。人口減少が進むなか、中心市街地の人口や人口密度の低下を回避することは容易ではありませんが、これを都市再生の好機ととらえ、空き地・空き家・空き店舗の有効活用や道路空間の再配分による魅力向上など、中心市街地活性化に向けた研究・実践を行います。

  • 都市のコミュニティ構築

    私たちがつくり上げてきた都市的環境(built environment)は、大規模な空間再編事業を除くと、個別建築物の改修や広場的空間整備といった中小規模の変化の積み重ねです。また、景観まちづくりの視点から、土地利用のマスタープランと地区レベルのアーバン・デザイン指針を連動させ、建設行為の利害関係者や地域住民たちの協議の場が設けられるなど、多様な主体が都市計画プロセスに関与する傾向が強まっています。そのような背景のもと、物的・人的両面でのコミュニティ構築に向けた研究を行います。

富山市都市計画審議会

都市計画審議会は、都市計画法にもとづいて地方自治体に設置される審議会です。自治体が都市計画の決定を行うにあたり、その内容を調査・審議する役割を担います。都市計画審議会の議を経て決定された内容は、土地利用に強い制限を与えることになるため、幅広い見地から、関係者の利害や権利等についても適正に配慮しつつ、都市全体がより良くなるように方向づけをしていくことが大切です。富山市はコンパクトシティの先進都市として、これまで先駆的な取り組みが進められてきました。これからも次のあるべき姿を目指してより良いまちづくりを考え続けていく必要があります。当研究室の久保田は当審議会の副会長を務めています。


富山市SDGs未来都市戦略会議/環境未来都市推進協議会

2018年、富山市はそれまでの「環境未来都市」に加え、経済・社会・環境の分野をめぐる広範な課題に統合的に取り組む地方自治体として、国(内閣府)の「SDGs未来都市」に選定されました。当研究室の久保田は富山市の環境未来都市推進協議会委員およびSDGs未来都市戦略会議委員として、環境やSDGsの観点から富山市の政策に協力しています。なかでも、都市の環境に大きなインパクトを与える都市施設の設計や建設工事の調達・契約において、受注希望会社の環境配慮活動やSDGsへの取組みや提案が当該企業の入札・技術提案のポイントとして加点される方式についての久保田の提案が、市の公共調達プロセスに実際に導入される方向で現在検討が進められています。


まちなかシェアハウス

空洞化が進みつつある中心市街地に活気を取り戻すためには、商業誘致やイベント開催だけでなく、中心市街地に人が住み・働くことが重要です。富山市の中心部に増えつつある空きビルを学生向けシェアハウスにリノベーションし、学生のまちなか居住を促進するとともに、入居者には地域活動への参加を入居条件としたり、まちなかの店舗を格安で利用できる特典を付与したりするなど、入居者がまちなかに暮らしながら積極的に地域と関わることのできる機会を生み出す仕組みづくりを推進しています。法的な問題をクリアし、多くの利害関係者の合意形成を図ることには苦労もともないますが、まちづくりとは、まちの未来を構想する楽しさとともに、このような努力の積み重ねでもあるのです。